チキンカレー

今日はツレがいない。泊まり勤務なのだ。
が、前回と違って今回は平日なので、さすがに私も怠け者になっているわけにはいかない。


腹が減っているからだ。


土日なら一日中ゴロゴロしているから腹も減らずに済むのだが、平日は日中活動している分空腹にも苛まれる。

糖質制限以前の私なら、常備してあるインスタント焼きそばをためらうことなく食っているところだが、今は生憎糖質制限中。
ご飯に麺、パン、問題外である。



となれば、何か作るしかない。

嫌々ながら冷蔵庫を開けると、そこに半端に残った生クリームが……

……チキンカレーにすっか。
この間0.5秒。



私の作るチキンカレーは、ルーを使わない。
100均のカレー粉(ハチ食品の小袋のやつ。味も好みで安くて重宝してます)をスプーン2杯、炒めた鶏肉としめじ・舞茸に振りかけて馴染ませ、塩コショウ、ケチャップ3杯、生クリームで仕上げる。
で、これを冷え冷えの豆腐にかける。

めちゃくちゃうまいんですよこれが。

きのこのかぐわしい香り。
鶏肉の適度な歯ごたえ、溢れるアミノ酸の旨み。
生クリームのコクがカレーの辛さをマイルドにしつつ、味をしっかり引き立ててくれる。
そして熱さと辛みが冷たい豆腐に絡んで、もうそれは絶品なのである。
それでいて、糖質は1食およそ7g。←戦犯:ケチャップ
ルーを使ったカレーライスの糖質がおよそ105gであることを考えると、糖質制限にはありがたい数字である。でもしっかりカレーを食った満足感はある。


はい、ここまで自画自賛
いやあの……私の口には合うというだけだが。



今回はサボったが、鶏肉をしょうがとにんにくで炒めれば多分もっとよい香りが広がったと思う。
あと、クミンを油で炒めればカレーの香りが段違いに上がる。
味は、生トマトをじっくり水分飛ばした方が間違いなくケチャップよりうまい。

……とまあ、もう一手間かければもっと美味しくなるのは分かってるけど、だって俺しか食う奴いないし。ツレがいるなら頑張るけどさ。今日ツレ、泊まりだし。

何より、腹減ってたから。
すぐ食いたかったのよ。



……それに、チキンカレーで一度ツレとケンカしたことがあるからな……。
あんまりツレには食わせたくないんだよな……。
意地とかじゃなくて、ケンカのもとになった、という過去にビビってるだけなんだけどね。


絵も料理もそうだけど、俺の自己満足で済んでいるうちはいいんだ。それをお裾分けするのも、軽い気持ちでやるし、相手の反応がどうであれあまり気にしない。合わなければやめとけばいいよ、くらいにしか思わない。

けど、「これは上手くできたな、他の人にも賛同してもらえるだろうな」って思いがある時に、そういう反応がないと、かなりダメージが乗る。
これはきっと『作り、提供する者』にしか分からない衝撃だろう。
もちろん、消費する側としては何とも思っていないのだろうけれども。分かってはいても、作るのにはそれなりの労力がいるものだし、こだわればこだわるほど、そしてその出来に自分でも納得できればできるほど、他人にも同じ思いになってほしいし、共有したいという思いが強くなってしまう。


その結果が、チキンカレーケンカ事件だ。
だからなぁ……俺はもう、自信のあるチキンカレーをツレに出したくないんだ。
いや、正確には『自信のあるチキンカレーをツレに出して、微妙な反応をされてショックを受けたり、ショックから立ち直れずケンカに発展したりすることをしたくない』、かな。

絵でも、受け入れられなかった時ショックを受けそうなものは、非公開で楽しむことにしている。
非公開なら、私は携帯からいつでもそれを見れるから。他人の反応も気にせずに済むし。




私にはまだ、あのショックを乗り切る自信がない。

というか
そんなリスクを負ってまで他人の前に成果物を晒す理由も度胸もない。
まあ、称賛を求める時点で目的を履き違えている感はあるけれども。



チキンカレーには恐らく一生警戒し続けると思う。
多分もう怖くて作れない。
私はビビりだからな。
ビビりな上に、嫌な記憶は笑っちゃうくらい鮮明に覚えてるから。忘れたくても、フラッシュバックしてきて忘れられない。


あーもーめんどくせえ人間だな俺は。


いーよいーよもう。
明日はツレが帰ったら、夕飯をエビフライにするんだよ。
それでいつものお裾分け気分でお互い楽しく夕飯を食うんだよ。
チキンカレーはツレと一緒にインド料理店で美味しいやつを食いに行けばいいんだよ。