しょげる。

忍、について。



この話はしないつもりだったけど、今日、どうしても心がざわついた案件があったものだから。







ツレが、私の好みだろうと買ってきてくれた漫画がある。

シノビノ」だ。



おっさんが主人公で、史実に近い忍(というか、モデルは同姓同名の実在の忍だし)。
魔法みたいな忍術は使わない。


私はおっさんが好きだ。

実際に居た生身の人間としての忍も好きだ。


おっさんはかっこいいし、忍具も(ちょいちょい「ん?」と思うところはあるが)実在したものなので、よく調べて描かれた作品なのだと思う。




ゆえに、だろうか。

主人公のおっさんが、やたら好戦的なのがモヤモヤして仕方ない。



少年誌だから、派手なアクションが好まれる

そうツレは言った。


そう、私が見ているものは少年誌の漫画だ。
割り切って読めない私が悪い。

分かった上で、言わせて欲しい。





忍は、あくまで諜報員。

音もなく臭いもなく、モブとして身を潜め、あらゆる手段を駆使して情報を集め、なんとしてでも生きて帰り依頼主にその情報を届ける。

モブとして生き、モブとして死ぬ。
しかし、モブを装う内側には、膨大な量の生き抜く知恵、記憶力、判断力、忍耐力、技術力、体力、五感の鋭さを秘めている。
それを、おくびにも出さない。それが忍。

必要でない行為はしない。
もっと言えば、積極的に人を殺さない。
交戦しない。
戦わずして勝つ。それも身元を明かさないまま。

忍術はもともと逃げるための術だ。
その数の多さからしても、忍が戦闘向きではないことが分かる。

忍の武器とされるものも、ほぼ当時(私が知っている忍は戦国時代のものなので、当時=戦国時代)農具として使用されていたものを応用したものばかりだ。
戦闘がメインでない上に、手裏剣や忍者刀など目立つ武器を持っていては、逆にマークされてしまうからだ(棒手裏剣なら五寸釘だと言い張ればなんとかならなくもない……のかも?)。
忍は一般人でいなければならなかった。円滑な諜報活動のために。
どうしても戦わなければならない場合に、農具で戦ったのだろう。それが鎖鎌であったり、クナイであったりしたのではないかと思っている。


普通の人として、普通でない仕事をしながら、普通に暮らす。いや、普通に暮らしているように「みせる」。でも油断はしない。




私が好きなのは、こういう忍だ。


けど、そういう忍漫画は、少年誌じゃなくて青年誌でやれって。

それに、漫画だから。フィクションだから。
ペリーが戦争前提で来航したっていう時点で既に史実とは異なるわけで。
だからこその漫画なわけで。



分かってる。

分かってる。



分かってるからこそだ。





いい作品だと思う。

それなのに受け入れられない自分にしょげている。



少年誌だから、派手なアクションが。

分かってる。


フィクションだから、忍が積極的に人を殺してても。

分かってる。






けど、どんなに自分に言い聞かせても、それは私が愛した忍ではない。

もしもそんな忍がいるのなら、それは私にとって「こいつは不出来な忍なんだな」という軽蔑の対象となってしまう。

人を殺さなければならない状況を作ってしまう忍が、優秀な忍とは思えない。
ましてや、自ら積極的に人を殺すなど、あまりにスマートさに欠ける。
私にとって、忍の殺人はリスキーかつ無駄な行為なのだ。


……と、思ってしまう。
私の一方的な価値観だが。



どうにもシノビノとの相性が良くなくて、悲しくてしょげている。
いい作品だろうに。
俺の変なこだわりのせいで、それを好きになれないなんてなぁ。

悲しい。
どうしようもなく悲しい。
テンションだだ下がりである。





……余談だが。

印を結んで火とか水とか出したり天変地異起こしたり、ごっつい額当してたりアミアミな装束着てたりする「ニンジャ」に関しては、それはそれでファンタジーとして、「忍」とは全くの別物として見ているので、しょげることはない。

NARUTO、いいアクション漫画だよね。
ニンジャスレイヤーも面白いよね。

ここまで実在の忍からかけ離れてくれると、私としてもちゃんと別物と認識して納得できるから、助かります。