実は先日、ツレと某ステーキ・ハンバーグレストランに行ったんだ。
楽しみにしてたんだけど、メニューを見たらいきなり
「結着肉使用」
って書いてあるんだ。
っていうか、メニューにあるステーキ全てに「結着肉使用」って書いてあるんだ。逃げられないんだ。
えーーー……って思ったけど、食わず嫌いはよくないかと思って食ってきたんだ。
沈黙。
大いなる沈黙。
完食して、店を出た。
車に乗った。
窓を閉めてクーラーをつけて、ツレがおもむろに口を開いた。
ツレ
「率直に言って、どうだった?」
ツレがこういう聞き方をするときは、ダメな時だ。
率直に言わなければならないことを覚悟している時点で、ツレが何を言おうとしているか分かる。
私
「………いまいち………かな…………」
これでもかなり抑えたほう。
かなり、かなり抑えたほう。
ツレ
「……………いまいち………だね………」
ツレもかなり抑えていた。
私に遠慮しているのかもしれない。
これでその場の会話は終わったんだけど。
一時間後経っても、二時間経っても、ずーーーっとあの味が消えない。
舌からも、胃からも。
言いはしなかったけど、かなりへこんだ。
──食ってから二時間後、ゲーセンで遊んで家に帰る道中で、ふとツレが言った。
「今日は全体的にゲームの調子が悪い。それもこれもあのステーキのせいだな」
あっ言いやがった。
なら俺も言っちゃうぞ。
にわかに色めき立つ海苔蔵。
私
「………あれ、めちゃくちゃまずかったよね」
ツレ
「俺が食ってきた中では最悪を記録する一品でした」
完全本音トークに突入。
私
「まず肉がまずい」
ツレ
「硬いし味も変」
「それをソースで誤魔化してる感じ」
私
「こっちは柔らかすぎた。肉っていうかゼリーみたいな食感」
「肉っぽい味はしたけど、あれは肉じゃない」
ツレ
「野菜もなんか臭ったし」
私
「臭かったね。なんだろうな、消毒?品質落ちした臭い?分からんけど不快な臭いが噛むたびに口に広がる」
ツレ
「多分もう二度と行くことはないでしょう」
私
「右に同じ」
そのままあのステーキもどきがいかにまずかったかについて、一晩語った。
翌日。
あれからどうしてもあのクソまずい肉もどきがステーキを名乗ることに納得いかなかった私は、会社帰りにスーパーに寄った。
夕飯の冷しゃぶに加えて、牛ヒレ肉一枚(580円)を買ってきた。
家に帰って、キャベツとブロッコリーと豚肉を茹でながら、牛肉を常温に戻す。
そして、いつもの手順で。
ステーキを焼いていく。
牛脂を火にかける。
肉に塩コショウ。
表を焼く。
裏を焼く。
肉を休ませる。
一口大に切る。
完成。
肉は一枚だけなので、ツレ三切れ、私二切れ。
まずツレにこいつを食ってみてくれと牛肉の入った小皿を差し出す。
黙って口に運ぶツレ。
そしてしばらくもぐもぐもぐもぐしてから、言った。
ツレ
「これ、もうあの店に行く理由がねぇな」
よっしゃ!!!
よっしゃーーー!!!!
だよねだよね!?
あの店のアレよりはマシだよね!!?
ツレ
「マシ?それはちょっと過小評価すぎると思う」
やったーーーーー!!!
嬉しいーーーーー!!!
ヒレ肉はしっとり柔らかで、油っこくもなく、大変美味しゅうございました。
柔らかくはあるけど、ちゃんと肉食ってる噛みごたえというか、繊維感がある。
そしてレア族焼き加減に特有の、肉の旨みが染み出てくる。
うっかりいつも通りミディアムレアにしてしまったけど、ヒレ肉はレアが一番合うんだそうだ。もったいないことしたな。ちゃんと調べておけばよかった。
それでもやっぱり私たちは、ミスジのステーキが一番好きだ(笑)味とか食感とか、総合的に一番好みな肉なんだよね。
500円くらいで二人で幸せになれるお肉、ミスジステーキ。
これからもツレに美味しいと言ってもらえるステーキを焼けるよう頑張ります。
それにしても……!!
仮にも料理を専門としたお店で、1000円払ってあんなクソまずいステーキもどきを出されるなんて思いもしなかったよ……!!!
あれならホント1000円の肉買って家で焼いた方が断然うまいわ。
世の中って広い!!!(怒)